猫の視力はどのくらい?暗闇でも見える?動体視力は高い?
猫は小さな生き物をうまく捕まえる名ハンターです。猫の目は人の目とは違う特質を持っています。暗闇でも見える視力と優れた聴力やしなやかな体を生かして、暗い狭い場所でもぶつかったりせず、走って行くこともできます。その猫の視力と優れた目の特質についてご紹介します。
最終更新日2020.05.06
猫の魅力でもある目、いろんな色があってキラキラして、瞳孔は大きくなったり小さくなったり、そんな不思議な猫の目ですが、視力は良いのでしょうか?
猫の目は優れた能力を持っています。
猫の視力は良いの?悪いの?
人の目も、猫の目も水晶体、虹彩、硝子体、網膜など作りは殆ど同じです。ですが人の目と比べてみると、細部を見る視力や色を見分ける色覚能力は人に劣ります。ですが猫は夜の暗闇でも、良く見える暗視視力や、動いている物を見る動体視力はは人より優れています。
これは野生動物だった猫が、肉食動物として狩猟をしていた頃から備わった本能です。飼育されているイエネコにもその本能は備わっており、窓の外で動く小さな虫や小鳥、小刻みに動くおもちゃにもよく反応します。
暗闇の中でも見えている
猫の目が暗闇でも見える仕組み
夜の暗闇の中でキラリと光る目、光が少ない暗闇でもしっかりと獲物を捕らえ見ることができるのは、猫の目の中の網膜の裏側にあるタペタムと言う反射板がある為です。目に取り込んだわずかな光もこのタペタムで光量を2倍に増幅させているのです。
猫は人と比べても7分の1の光量で十分見えます。夜の暗闇で猫の目が光るのも、このタペタムがあるからです。
残念ながら人にはタペタムはありません。
光の明暗を感じる視細胞を多く持っていることで、光を感知する量は人の5倍と言われています。
もう一つは眼球の大きさが体の割には大きいということです。目が大きいとそれだけ瞳孔も大きくなります。
瞳孔は目に入ってくる光の量を調節します。暗いところでは瞳孔は大きく開き、光をたくさん取り入れようとしますし、明るいところでは瞳孔を狭くして光量を抑えようとしてます。暗闇でもキラッと猫の目が光るのはタペタムのせいなんです。
動体視力が優れている
優れた動体視力は生きる為の猫の本能
猫の視力は人の10分の1程度しかありませんが、その視力を補うため、猫の目は動くものには俊敏に反応します。
動くものを認識し、視線を外すことなく持続して追いかけることができます。
猫と遊ぶときに、おもちゃやねこじゃらしを目の前で動かすと、激しく反応するのはそのためです。
人にはきれいに動いているように見える1秒に24コマのテレビの画像も、猫が見ると紙芝居のように1コマづつ静止して見えています。テレビに動物が映っていると、よく見ているんですが猫にとっては静止画像なんですね。
野性だった時の猫やヤマネコなどは、獲物を捕獲するために、素早く動く小動物や小鳥、爬虫類や両生類、昆虫などを素早く見つけて焦点を定めなければいけません。生きるために備わった能力です。
人に飼われるきっかけは動体視力?
昔、猫はネズミを捉えるために人に飼われていた時代がありました。ネズミはほとんどが人が寝ている夜中に活動して、穀物などを食い荒らしたりウイルスや細菌をまき散らすといった被害もあります。人は落とし穴を作ったり、ネズミ返しでネズミが入らないようにもしました。
猫が人に飼われるきっかけとなったのはネズミだったと言われています。森の中でネズミを追っていたヤマネコが穀物の貯蔵庫までネズミを追ってきて、穀物には目もくれず、ネズミだけを捕食してくれるのは、人にとっては有難い存在です。
猫は真っ暗な森の中や穀物蔵の中でもネズミを捕まえることができます。
動体視力は1m、2m先だけではなく、50m先まで小さな生き物を捉える視力を持っているという驚きの動体視力です。
実は視力は悪い?
暗がりで獲物を捕獲するのには優れている猫の目ですが、実は視力は人の10分の1程度で良くありません。
人の視神経が120万本に対して犬や猫の視神経は17万本しかありません。猫ですので、人のように視力検査はできませんが、およそ0.1~0.2程度と言われています。周囲の様子は少しもやのかかったように見えていると考えられています。
静止物の認識対象は6~10m程度ですが動体視力は優れていますので、およそ50m先の動く小動物などは見ることができます。
なお猫の視野は両目での視野範囲は120°で片方づつの目で見ることのできる全体の視野範囲は約280°あります。
人の全体の視野範囲が約200°ですので人より視野範囲が広く、斜め後ろも見えていることがわかります。
認識できる色
猫は色覚能力は人より劣っていて、赤や緑がうまく判別することができません。
その理由は、網膜にある視細胞の中で色を識別する錐状体(すいじょうたい)が人に比べて少ないからです。
猫の色覚や視野については下記の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみて下さい。