三味線の材料に猫の皮が使われているのはなぜ?今も?
猫の皮が三味線に使われているという噂を、聞いた事はありますか?「かわいそう」「残酷」と感じて、ただの噂だと思った方もいるかもしれません。「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざになるほど、猫の皮は三味線に使われると有名です。
最終更新日2020.05.06
三味線の材料に猫の皮が使われているのは本当?
このことわざの中では、目を悪くした人が音楽を楽しみにして三味線を使うと、三味線が売れすぎて猫の皮が足りなくなる、と述べられています。
動物保護活動が活発になりつつある日本では、もう三味線の素材として猫の皮が使われる事がないと思われるかもしれません。
でも、実際には猫の皮はいまだに、三味線の材料として使われています。猫だけではなく、犬の皮も三味線を作る素材とっして使われているんです。
なぜ三味線の材料に猫の皮が使われるのか
三味線の起源は、14世紀末の琉球王国で作られていた三弦と呼ばれる楽器だと言われています。三弦に使われていた素材は、ヘビの皮だったようです。
三弦という楽器は、時を経て今の三味線になりました。猫の皮は三味線の「胴」と呼ばれる部分に使われます。本体の「胴」の部分を覆うために、大きすぎず小さすぎない皮を使う必要があります。ちょうど良い大きさの皮を張る事で、良い音楽を奏でる楽器になります。
なぜ猫の皮が三味線に使われるかと言うと、「胴」にぴったりの大きさだからです。犬の大きさも同じ理由で使われますが、犬の皮の大きさも三味線にちょうどいいんですね。猫の皮と犬の皮では、三味線の素材にした時に音色が変わると言われています。猫の皮はとてもなめらかで柔らかく、三味線に使われると、繊細な音質になるようです。
津軽三味線は犬の皮
ちなみに、津軽三味線に使われるのは、犬の皮です。胴部分を撥で強く弾きながら演奏する津軽三味線では、猫の皮は薄すぎて耐えられないようです。
犬の皮を津軽三味線に使う事で、力強い音色を出す事が出来ます。
今も三味線の素材に猫側は使われている?
津軽三味線は昭和40年代からブームになりましたが、現在でも吉田兄弟、木乃下真市などの有名な演奏家に、楽器として愛用されています。
三味線と津軽三味線の違いは、津軽三味線はソロで聞かせる事が出来る点にあるようです。津軽三味線の有名な曲の「じょんがら節」は、皆さんも一度は耳にした事があるのではないでしょうか。
今は日本では動物愛護活動が活発になり、猫を捕って皮に使う事に反対活動が起きたため、今は日本の猫の皮が三味線に使われる事はほとんどないそうです。猫皮が使われる場合の調達は日本産の猫の皮は非常に少なく、ほぼ輸入されたものです。
(輸入元は中国、台湾、東南アジアなどが多いそうです)
また合成皮が使われることも増えており、動物愛護の観点からすると合成皮が全体に普及してほしいですが、やはり本革への拘りが本革ならではの良さもあるようです。
今でも愛される猫の皮を使った三味線
ことわざに楽器としていちばんにあげられている程、昔から有名だった三味線。本当に猫の皮が使われているなんて、ビックリした方も多いかもしれません。
三味線は古い伝統のある楽器ですが、猫も人間の身近にいる存在として、昔から愛されてきたという証拠ではないでしょうか。
三味線の音を耳にした時は、素材になっている猫の声に耳を傾けるように、演奏を楽しんでみてください。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざの中に、猫の皮が三味線として使われるという内容があります。