【獣医師監修】犬にチョコレートは絶対ダメ!食べた際の対処法を紹介!
犬にチョコレートはダメという知識を持っていても、なぜ食べたらいけないのか詳しく知らない飼い主さんもいるでしょう。また、気をつけていても誤食してしまったという非常事態はどんな家庭でも起こりえます。もしもの時の対策として犬とチョコレートの関係を知っておきましょう。
最終更新日2020.05.06
犬にチョコレートは厳禁
人にとって甘くおいしいチョコレートは、そのままで食べることはもちろん、ケーキやクッキー、パンなどに混ぜ込んで使われることも多いお菓子です。甘いものが好きな人が家族に1人でもいれば、いつも買い置きしている飼い主さんも多いでしょう。
しかし、人にとっておいしいチョコレートは、愛犬たちにとっても普段のドッグフードとは違う「いい匂い」にあふれた魅力的な食べ物だということを意識しておかなければいけません。そして何よりも、チョコレートは犬にとって中毒を引き起こすリスクがある食べ物です。
しかし、
「意識していたつもりなのに気づかないうちに食べちゃった!」
と慌てて動物病院にやってくる飼い主さんとわんちゃんは多いものです。
チョコレートの誤食はそのおいしさと香りからありふれたもので、愛犬がうっかり食べてしまうと、飼い主さんは愛犬の今後に対して不安にかられてしまいますね。
そんな飼い主さんに向けて、犬がチョコレートを食べたら起こるかもしれないチョコレート中毒の症状や致死量についてを、誤食した時の対処法も含めてお話ししていきます。
犬がチョコレートを食べていはいけない理由
犬がチョコレートを食べてはいけないと言われる理由は、
- テオブロミン中毒
- 過剰な脂質摂取
犬がチョコレートを食べたらどんな危険が愛犬の体に待ち受けているのか、まずは整理してみましょう。
テオブロミン中毒
チョコレート中毒は、正確にはチョコレート製品やココアの原料であるカカオに含まれる「テオブロミン」という成分が原因の中毒です。
テオブロミンはカフェインの親戚のような成分で、中枢神経系の興奮作用、利尿作用、頻脈を起こす作用などを持っています。眠気覚ましにコーヒーを飲むのは、このカフェインが目当てですよね。
同じような作用を持つテオブロミンの代謝に必要な時間は、人の場合は6時間程度が半減期(体内で半分程度まで減る期間)です。
しかし、犬はテオブロミンを解毒・分解するための体の機能が弱く、半減期に至るまでに17.5時間もかかってしまいます。
チョコレートとイヌ・ネコの健康
つまり、テオブロミンが体に蓄積されやすいという意味で、人には問題のないカカオ製品も犬にとっては中毒症状として現れる可能性を秘めています。
チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量が大きく異なりますが、チョコレートを誤食して中毒症状を示している犬の治療が遅れた場合には死亡例もあります。中毒症状が現れる前に素早い対処をすることが必要です。
過剰な脂質摂取による内臓への負担
チョコレート中毒以外にも注意したいのが、チョコレートに含まれる脂質の量です。
ミルクチョコレートを始めとして、チョコレートを材料に使ったお菓子は、バターやミルクなど脂肪分を多く含んで作られています。お菓子作りをしたことがある人はわかるかもしれませんが、「こんなに入れるの…?」と食べる時には忘れたくなるほどの量を混ぜますよね。
人ならば体格が大きいので問題のない量も、小型犬を始めとする小さな動物の場合、脂肪の代謝がさほど得意ではない体質から見ても消化に大きな負担がかかります。
脂肪を代謝する時には膵臓から分解酵素が出されますが、多すぎる脂肪の量に膵臓の働きがパンクして膵炎に陥るリスクがあります。
また、単純に消化吸収が追いつかずに胃腸炎として嘔吐や下痢が出ることもあるため、チョコレート中毒にならなかったとしても、別の病気の症状として現れる可能性があることも知っておきましょう。
チョコレートを食べるとどんな症状が出るのか?
それでは実際にチョコレートを食べると体にどんな症状が出る可能性があるのかをチェックしておきましょう。
症状が出るまでの時間の目安も知ることで、チョコレートを愛犬が食べてしまった時にどれくらいの時間見守れば良いのかの判断もしやすくなります。
症状が出るまでにかかる時間は?
チョコレートが体に入ってから症状が出るのは、その成分が腸で吸収され始めてからになります。
食べ物が胃腸で消化吸収され始めるまでにだいたい6~12時間程度はかかるため、食べてすぐに何か症状が出る可能性は低いということを知っておきましょう。
その分、実際に次で紹介するような中毒症状に陥る前・チョコレートが吸収され始める前に手を打つべきであるとも言えます。
チョコレートを誤食した場合は、全く症状が出ていなくても動物病院で診察を受け獣医師の指示に従うようにしてください。誤食直後に愛犬の様子にまったく問題がなくても、時間の経過と共に症状が出てくる可能性もあり、様子を見過ぎるのは危険です。
チョコレート中毒の症状
チョコレート中毒が疑われる時には、原料であるカカオの成分・テオブロミンによって、
- 嘔吐/下痢
- 多飲/多尿
- 興奮
- あえぎ呼吸(パンティング)
- 頻脈/不整脈
- ふらつき
- けいれん発作
レオどうぶつ病院 診療日記「犬のチョコレート中毒に注意!」
テオブロミンは脳・呼吸器・心臓など様々な場所に作用してしまうので、症状も幅広く現れます。
大量に摂取したり、その犬にとっての危険量を超えてチョコレートを食べてしまった場合、昏睡状態にまで陥って亡くなる可能性もあるという認識を持っておかなければいけません。