【獣医師監修】犬にチョコレートは絶対ダメ!食べた際の対処法を紹介!

【獣医師監修】犬にチョコレートは絶対ダメ!食べた際の対処法を紹介!

犬にチョコレートはダメという知識を持っていても、なぜ食べたらいけないのか詳しく知らない飼い主さんもいるでしょう。また、気をつけていても誤食してしまったという非常事態はどんな家庭でも起こりえます。もしもの時の対策として犬とチョコレートの関係を知っておきましょう。

orion
ライター

orion

動物病院で看護師として7年半勤務し、現在は動物の訪問介護・ペットシッター・飼い主さん向けセミナー講師を行っています。甘えん坊な猫1匹と同居中。

記事の目次

  1. 1.犬にチョコレートは厳禁
  2. 2.犬がチョコレートを食べた時の対処法
  3. 3.犬がチョコレートを食べないように予防しよう
  4. 4.まとめ

チョコレート中毒の危険が出てくる量は?

実際にどれくらいの量のチョコレートを食べたら犬にとって危険なのか、ぜひ知っておきたい所ですよね。

もしも今うっかり誤食した後だったとしたらなおさらでしょう。

チョコレートが犬に影響を与える量や致死量は、

  • チョコレートに含まれるテオブロミンの含有量
によって左右されます。

テオブロミンがたくさん含まれるチョコレートは?

チョコレート

チョコレートと一口に言っても、いろいろなタイプの商品があります。

犬にとって危険な成分はカカオに含まれるテオブロミンのため、やはり高カカオ製品を食べた場合の方がチョコレート中毒のリスクを考えなければいけません。

「チョコレート」として扱われる代表的な製品では、

  1. 高カカオチョコレート(86%や95%など)
  2. ココアパウダー(乳成分や砂糖の混じり具合で順位は変化する)
  3. スイートチョコレート/ダークチョコレート(製菓用など)
  4. ミルクチョコレート
  5. ホワイトチョコレート
の順でカカオ=テオブロミンの含有量が高くなります。

国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」 テオブロミン含有量について紹介

ホワイトチョコレートに関しては、中毒を引き起こすレベルのテオブロミンの量かどうかはほぼ気にする必要がないほどです。

しかし、高カカオチョコレートの場合は、たとえ少量のかけらであったとしても、犬の体格によっては危険な量になってしまいます。

犬にとっての致死量

元気のなさそうな犬

犬がチョコレート中毒を引き起こす可能性のある量は、体重1㎏あたりでテオブロミンが20〜60㎎と幅広く、20mg/kgで軽度(下痢、嘔吐、多飲)、40〜50mg/kgで心臓に影響、60mg/kg以上で痙攣等を起こすいう報告があります。
そして、致死量はと言えば、体重1㎏あたりでテオブロミンが100~200㎎と言われています。しかし、犬によってテオブロミンに対する感受性がかなり異なるため、それよりもはるかに少量で死亡に至ることもあります。

それは一体どんな量のチョコレート?と疑問に思いますよね。

たとえばミルクチョコレートであれば、1gで約2㎎前後のテオブロミンが含まれることが多いようです。
つまり、ミルクチョコレートを50gほど摂取すると、1㎏の犬で中毒症状が現れるリスクがあるというわけです。

ミルクチョコレートの板チョコの場合、だいたい1枚分が50~60gくらいなので、3㎏の犬なら板チョコ3枚、5㎏の犬なら板チョコ5枚と結構な量を食べなければいけませんね。

けれどもこれが高カカオチョコレートやダークチョコレートなど、テオブロミンの含有量が1gあたりで多くなってくると、少量のかけらだと思っていても、中毒に至る危険性は簡単に高まります。

ダークチョコレートは1gあたり約5㎎前後のテオブロミン含有量だと言われているので、20gほどの少量でもその危険性を秘めています。ミルクチョコレートとは大きな量の違いですね。

あいむ動物病院「チョコレート中毒」

また、犬でも個体差はあり、テオブロミンの分解・排泄がより苦手な体質の子もやはりいます。
その場合はたとえミルクチョコレートでも、大量に食べなくても中毒になる可能性があります。

犬がチョコレートを食べた時の対処法

チョコレートを食べてしまったことがわかったら、自己判断はせずにまずは動物病院へ行きましょう。

その上で、今後愛犬に起こるかもしれない中毒の危険性や、今の体の状態を確実に把握していく必要があります。

食べてすぐなら催吐処置

獣医師と犬

チョコレートを誤食してしまった時の応急処置として1番効果的なのは、胃の中に残っているチョコレートを吐かせることです。

食べてしばらくはチョコレートが胃の中に残るので、体が吸収する前にできるだけ外に出す対応が犬にとっては負担も少なく済みます。

摂取後1~2時間はもちろん、チョコレートは溶けることで粘着する性質から、4~6時間後でも胃の中に残っていることがあるため、やや時間が経過していたとしても催吐処置を行うことがあります。

また、致死量を食べたことが確実な場合では、まれに麻酔下で緊急的な胃洗浄を行うこともあります。

自己流での催吐処置は、犬の体に負担をかけたあげくにうまく吐けないことも多いので避けましょう。
特に、昔ながらの塩を飲ませての催吐は、過剰な塩分が体に入ってしまうことで命に関わることがあります。

体に吸収されて発症したチョコレート中毒に対して、効果的な解毒剤はありません。
どれだけ早く催吐処置ができるかが大事になるため、誤食後はできるだけ早く動物病院へ向かいましょう。

体の外へ排泄させるための補助治療

点滴

チョコレートを無事に吐かせることができれば、もう1つの応急処置として、体に取り込まれた可能性のある成分を排泄するためのサポートをしていきます。

吐かせたことによって体液バランスが乱れることもあり、体の代謝を促すためにも皮下点滴を行います。
そして、テオブロミンを吸着させて体の外へうまく出すために、活性炭を与えることも多いです。

催吐処置がうまくいけば、その後はこういった補助治療でケロッとしている子も多いものです。
しかし、すでに中毒症状が出ている場合には、その症状に合わせた薬剤の投与など対症療法しかできません。

治療の指標にするためにも、チョコレートを誤食したら食べた商品のパッケージごと持っていき、
「どんなチョコレートをどれくらい食べたのか」
をきちんと獣医師に伝えましょう。

犬がチョコレートを食べないように予防しよう

チョコレート中毒で慌てないためには、犬がチョコレートを口にしないことが大切です。

お家の中で愛犬が食べないようにする工夫をしていきましょう。

出しっぱなしにしない

赤ちゃんとチョコマフィン

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まとめ

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