獣医師監修記事

犬に噛まれたら病院を受診すべき?応急処置の方法もご紹介!

犬に噛まれたら病院を受診すべき?応急処置の方法もご紹介!

噛まない犬だと思ったら・・・ガブリ!犬に噛まれたらどう対処すればよいのでしょうか?治療方法は?擦り傷だけど病院に行った方がいい?犬に噛まれたら通報した方がいいの?こんな状況でパニックになってしまわないようにあらかじめどうしたらよいのか学んでおきましょう。

監修: 獣医師・院長 平松育子

(ふくふく動物病院)

犬に噛まれたら病院を受診すべき?

突然犬に噛まれた

そうなったとしたら気が動転しますし、どのように対処すればよいのか迷います。犬に手などを噛まれた時の救急処置や、病院で治療を受けるかどうかの判断についてお話しします。

犬に噛まれたら病院へ

犬に噛まれたら、小さな傷でも病院へ行き処置を受け治療しましょう。

犬の口の中には様々な菌がいます。飼い犬ならば、狂犬病ワクチンや混合ワクチン接種の有無がわかりますが、飼い犬でない場合はわかりません。野良の場合はなおさらです。

たとえかすり傷でも体調や噛まれた方の年齢によって感染し入院が必要になる場合があります。必ず病院で診察を受け、適切な治療を受けましょう

応急処置

犬に手などを噛まれた場合まず何をすればよいのでしょうか?

消毒など処置の方法についてお話しします。

流水でしっかり洗い流します

犬に手などを噛まれたときに、まず傷口を流水で洗い流し対処してください。

噛まれてから6~8時間以内はゴールデンタイム(黄金時間)といわれ、病原菌が傷口に付着しているだけでまだ感染していない状態です。流水で洗い流すことで、傷口に付着した病原菌や汚れや異物を除去することが可能です。

精製水のような何か特別な水でなくても、水道水で十分です。しっかり洗い流しましょう。
 

消毒液は何が一番良いのでしょうか

消毒液にもさまざまな種類がありますが、どれが向いているのでしょうか?

消毒液には「オキシドール」「ヨードチンキ」「ポピドンヨード」「クロルヘキシジン」などがあります。
それぞれの特徴についてお話しします。

①オキシドール
オキシドールは傷に流し込むと泡が出て、汚れやごみを押し流します。しかし、殺菌や消毒する力はほぼありません。汚れを流すのであれば、流水で十分です。

②ヨードチンキ
ヨードチンキは茶色の液体で、傷につけるとしみて痛みを感じることもあります。ヨードチンキが乾いていくときに消毒の効果を発揮します。血が出ているような傷の消毒には向きません。

③ポピドンヨード
茶色の消毒液ですが、傷口についた消毒液の色がすぐ取れるので傷口の確認がしやすく殺菌効果も高い消毒液です。

④クロルヘキシジン
透明と濃いピンク色があります。効果はどちらもほぼ変わりませんが無色の方が使いやすく傷口の確認もしやすいです。

消毒薬にもさまざまありますが、使いやすいのは③ポピドンヨードと④クロルヘキシジンです。
 

消毒の仕方

消毒の仕方を間違えるとかえって傷が治りにくくなります。
ここでは正しい消毒の仕方を紹介します。

消毒薬は傷口に入るように塗るのはNGです。

①傷口を流水でよく洗い流す
②消毒薬が傷の中に入らないように気を付けて、傷の淵ぎりぎりを消毒していく
③よく乾かす

傷の中に消毒薬が入ると、組織が痛み傷の治りが悪くなります。
ゴールデンタイムに傷に対処し、流水でよく洗えば、病原菌は洗い流されて感染をできるだけ防ぐことができます。
しっかり洗ってください。

犬に噛まれたときの怪我

犬に噛まれたときにできる傷を分類すると「深い傷」「浅い傷」に分類することができます。

それぞれの場合の注意点と対処法、病院で治療を受けるべきかどうかについてお話しします。

浅い傷

犬歯が当たったり、かすった場合に浅い傷ができます。

浅い傷の場合は噛まれた部位が腫れることも少なく、擦り傷のように見える場合もあります。しっかり流水で洗い流し消毒薬で消毒してください。

次第に腫れてくる、内出血が起こる、ズキズキする場合はたとえ浅い傷でも必ず病院にかかり適切な治療を受けてください。

深い傷

犬の歯には犬歯があり、ほかの歯に比べても非常に長く噛まれたときに歯が刺さり深い傷ができることがあります。
穴が開いてしまうこともあり、かなりの痛みを伴います。

犬は噛んだ時に振り回すようにするため、傷の見た目より内部の被害が大きくなることもあります。

傷が深くなると犬の口の中の細菌が傷の奥に侵入してしまい、洗い流すことが難しくなります。
痛みが激しい、大きく腫れている、皮膚の色がおかしいなどの症状がある場合は様子を見ないで、必ず病院を受診し治療してください。

犬に噛まれてかかる可能性のある病気

犬に噛まれてかかる可能性のある病気には、「狂犬病」「破傷風菌感染症
「パスツレラ菌感染症」が代表です。それぞれについて解説します。

狂犬病

狂犬病はラブドウイルスの感染症です。

狂犬病にかかった犬に噛まれることで感染します。狂犬病は犬だけの病気ではなく、哺乳類はすべてかかる可能性があります。

発熱、食欲不振、嘔吐、筋肉の痛みなどが初期症状で、進行すると錯乱、震えなどの神経症状が起こります。
一度発症すると治療方法がなく、致死率100%です。

日本国内で狂犬病の犬に噛まれて人が発症した例は近年ありませんが、周辺の国では発生がありますので、油断できません。

破傷風

破傷風菌は主に土壌中に存在する菌ですが、犬に噛まれたときに傷口から侵入することがあります。

破傷風菌は神経毒を出し、初期症状では「顎がつかれる」「口が開かなくなる」などの特徴的な症状が起こります。
症状が進行すると、「歩行障害」「全身の筋肉の硬直」などが起こります。

最悪の場合は亡くなることもあります。

パスツレラ症

パスツレラ菌は犬の口の中にいる常在菌で、犬の約75%が持っています。

爪にもこの菌を持っていますので、ひっかき傷も気を付けてください。噛まれた部分が化膿する、呼吸器症状が出るなどが特徴です。

症状がひどくなると病院に入院して治療が必要になることもあります。

子供、高齢の方、病気の方、免疫低下の方は要注意

子供さん、高齢の方は免疫が弱い場合があり、感染しやすく症状が悪化する傾向があります。子供さんは急に犬に手を出すことがありますので注意してください。

また、病気治療中の方も同様です。特に「抗がん剤治療」「免疫抑制剤を投与中」「糖尿病」の方は、少しの細菌感染でも悪化してしまう場合があります。

飼い犬であっても何かの拍子に噛まれてしまう、歯が当たってしまう場合があります。十分に注意してください。

病院では何科を受診すべき?

病院では「外科」か「皮膚科」を受診してください。

保険適応については以下によって変わります。

  • 飼い犬なのか、他の家の飼い犬なのか
  • 保険証の種類

詳細は、通院した病院で詳しく聞くほうが良いでしょう。

他の家の飼い犬に噛まれた場合

Photo bymoshehar

他人の飼い犬に噛まれた場合は、どのような対応をしたらいいのでしょうか。手順を追って解説します。

1:必ず連絡先の交換を行う

先述したとおり、何より先決なのは治療です。小さな傷でも病院で治療を受けましょう。

その際、可能であれば噛まれた犬の飼い主にも付き添っていただきましょう。付き添いが難しい場合は、必ず連絡先を交換し、治療結果を共有する旨を伝えましょう。

  • お名前
  • 電話番号
  • ご住所
以上の連絡先は、聞き間違いなどある場合があるため、必ずその場で電話が繋がることを確認しましょう。

2:保健所への報告

犬が人間を噛んだ場合は、保健所への報告義務が発生します。届けが必要なのは、

  • 飼い主
  • 被害者
  • 治療した医師
の3者です。この場合3者全員に報告義務があるのですが、飼い主側が保健所に報告することに協力してくれない場合があります。その場合は被害者から保健所に状況を相談しましょう。

保健所側から飼い主に電話や訪問で確認してくれることがあります。

3:被害届を出すかどうかは被害者判断

飼い犬が人間に怪我を負わせた場合、被害者が訴えれば飼い主は過失傷害罪に問われる可能性があります。傷害罪は被害者側から親告しない限りは何もおきることはありません。通報するべきかどうかは、被害者の一存で決まります。

しかし親告したからといって、怪我の程度や状況によっては捜査が見送られることもあります。どのような場合に通報するべきか、例をいくつか記載します。

  • 故意的に犬に噛ませてきた
  • 飼い主側が協力的でない、無視される
  • 飼い主の飼い犬の管理能力が低い、あまりに危険である
  • 同一のトラブルを何度もしている
以上のような場合は、飼い主が傷害罪として問われる、捜査が入るなどのことがありますので、被害届を出しましょう。

4:飼い主との話し合い、状況共有

被害者の治療が1度で終わらない場合も多いです。飼い主側とは定期的に連絡を取り、状況を共有しましょう。飼い主側に発生する支払い義務は、

  • 怪我の治療費
  • 通院時の交通費
があります。また怪我の程度によっては、仕事を休まざるえなくなったり、後遺症が残る可能性もあります。その場合は慰謝料が発生する場合もあります。

慰謝料の妥当な金額を算出するのは難しいですが、自賠責保険の基準を鑑みて『4200円×治療にかかった日数』を適用する場合もあります。飼い主側との関係性や怪我の度合いにもよりますので、慎重に適宜話し合いすることが望ましいです。

もしも当人同士での話し合いが決裂してしまった場合は、保険会社や弁護士を介して話し合うことも出来ます。
状況に応じた対応をしましょう。

Photo bySeaq68

いかがでしたでしょうか?

犬は大好きなのに、噛まない犬だと思っていたのに、と思いがけず怪我をしてしまう人もいるでしょう。犬に噛まれるという経験はとてもショッキングなものです。

そして同時にかなりの危険を孕んでいることも学んで頂けましたでしょうか。たかが擦り傷と高をくくらず、きちんと病院で治療してもらいましょう。

また、他人の飼い犬だった場合は必ず連絡先を交換することを忘れないようにしましょう。

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