【獣医師監修】犬が玉ねぎを食べるのは大丈夫?食べた場合の対処の方法は?
犬が玉ねぎをうっかり食べてしまった!という誤食事件をお家で引き起こすことがありますよね。玉ねぎは良くないと聞くけれど、何が良くないのか、食べてしまった今どうすれば良いのか困っている飼い主さんもいるでしょう。今回は、愛犬が玉ねぎを誤食した後の対処法をお話します。
最終更新日2020.05.06
愛犬が玉ねぎを食べた時には、「犬は玉ねぎを食べてはいけない」という何となくの知識から、どうすればいいのか焦ってしまうことも多いことでしょう。これから愛犬にどんな症状が起こるのか、どのくらいの時間が経てば症状が現れるのか、わからないことはたくさんありますよね。
これから、なぜ玉ねぎを食べてはいけないのか、玉ねぎ中毒によって起こる症状とは何かについてを知っておきましょう。
犬が玉ねぎを食べるのは大丈夫?
犬は玉ねぎを食べると「玉ねぎ中毒」に陥る危険性があるため、絶対に食べてはいけません。
この玉ねぎ中毒は、時には愛犬の命を危険にさらすこともあります。
まずは玉ねぎ中毒とは何かについて解説します。
玉ねぎを食べてはいけない理由
玉ねぎには、有機チオ硫酸化合物という犬猫にとっては毒になる成分が含まれています。
人にとっては血液サラサラ成分含有の食べ物として、健康を保つために活躍する野菜の1つですが、犬にとっては中毒症状を引き起こす食べ物です。
この玉ねぎに含まれる毒性は、加熱しても消えません。
そのため、生の玉ねぎでなくても、
- ハンバーグ
- コロッケ
- みそ汁
- シチュー
- 肉じゃがの煮汁
特に煮汁になると、玉ねぎとしての見た目も消えてしまうくらい煮込まれていることもあるため、玉ねぎを誤食したという認識を忘れがちです。
玉ねぎ中毒になる確率は?
「玉ねぎ中毒には簡単にはならない」と記載されているサイトもありますが、それは嘘に近いでしょう。
実際に玉ねぎを含んだ食品や液体を少しなめた・食べただけで発症した例もあり、(玉)ねぎ中毒に対する感受性は、遺伝的な要因も含めて様々です。
やまだ動物病院 M・ダックスの玉ねぎ中毒
玉ねぎを1㎏あたり5~10g食べることで貧血が起こるとされるデータもあります。
しかし、柴犬や秋田犬などは玉ねぎ中毒に対する感受性が高いとも言われ、この量を食べていないのであれば大丈夫、とは確実には言えません。
禁忌食(その1) タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康
あえて玉ねぎを与えるメリットは全くなく、避けるべき食品と言えるでしょう。
玉ねぎ以外のネギ類にも注意
玉ねぎ中毒という名前が有名ですが、玉ねぎだけでなくその他のねぎ類にも同じ毒性が含まれているため注意が必要です。
- 青ねぎ
- 白ねぎ(長ねぎ)
- ニラ
- にんにく
そのため、すき焼きの煮汁の残りなども、犬にとってはおいしい匂いのため、誤食によるねぎ中毒のリスクがあります。
にんにくに関しては健康成分と中毒成分で意見が分かれることも多いものです。
しかし、あえて犬が食べなければいけない食品ではないため避けておきましょう。
中毒になった際の症状
玉ねぎ中毒では、玉ねぎに含まれる有機チオ硫酸化合物が酸化してハインツ小体と呼ばれるものを作り、それが血液の中の赤血球を壊してしまうことで症状が出ます。
その症状は、「溶血性貧血」です。
溶血性貧血の症状とは?
溶血性貧血になると、
- ヘモグロビン尿(赤~暗赤色のコーラの色に似た尿)
- 口腔・舌・ 結膜などの可視粘膜が白い
また、赤血球が破壊されて貧血になると同時に、本来赤血球中のヘモグロビンと結合して酸素が運搬されていますが、結合する赤血球の数が減少するために酸素の運搬まで邪魔されてしまいます。
それによって、
- 呼吸促迫(呼吸が速い)
- 元気がない(動けなくてぐったり)