フェレットの飼い方ガイド!(種類・価格・寿命・エサ・病気)
最近飼っている人が増えているフェレット。遊び好きで賢くなつく動物だといわれていますが、どんな種類がいて、寿命はどのくらいなのでしょうか。今回はフェレットの種類や平均寿命、飼い方やなりやすい病気やその対策方法について解説していきます。
最終更新日2020.05.06
【獣医師執筆】フェレットの病気について
それではまず、フェレットで代表的な病気を紹介していきます。
フェレットは内分泌系の病気が非常に多い印象があります。外分泌とは汗など体の外に分泌させるもので、それに対して内分泌とはホルモンなど体の中に分泌されるものです。難しい言葉も出てきますが、命に関わる病気があるのでどんな病気があるのか少しずつ勉強していきましょう。
インスリノーマ
「インスリン」というホルモンの名前は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる作用があります。人の生活習慣病である糖尿病の薬としても有名です。「ノーマ」というのは腫瘍という意味です。つまりインスリノーマとはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞の腫瘍ということになります。転移は稀ですが命に関わる病気です。
この病気はインスリンが分泌され過ぎてしまうため、低血糖を引き起こします。人で糖分が足りなくなるとボーッとしたり力が出なくなったりしますよね。しかし、この病気はそんなに優しいものではありません。具体的にどのような症状を示すのか見てみましょう。
- 口をくちゃくちゃ・口を手で掻いている・歯ぎしり・よだれを流す
- フラつく・足を引きずる・歩けない・ハンモックに上がらなくなった・足が開いている
- 寝ていることが多い・ボーッとしている・寝起きが悪い
- 呼吸が荒い時がある
- 痙攣を起こす・意識がなくグッタリ
この病気は中高齢で発症することが多いため、「近年様子が変わってきた」というのも加齢変化でなくこの病気が原因の可能性もあります。症状も常に出るのではなく、血糖値が下がっているタイミングで間欠的に出るため見逃してしまう事もあるかもしれません。特に症状がなくても最低1年に1回は血液検査をしておくといいでしょう。
では、上のような症状が出たらどうすればいいでしょうか?
まずはガムシロップや蜂蜜などを少量ずつ飲ませてみましょう。意識がない時には綿棒を使って歯肉に塗り込んでください。この方法でも糖分が急速に吸収されます。症状が低血糖によるものならば、シロップによって血糖値が上がって少し症状が落ち着きます。そしてすぐに病院へ連れて行きましょう。
病院でインスリノーマと診断された場合は補液をして、飲み薬を飲ませ、時には外科手術を行います。
副腎疾患
副腎は血圧、血糖、水分、塩分量など体内環境を常にちょうど良い一定の状態に保つためのホルモンをつくっています。このホルモンは多すぎても少なすぎても病気になってしまうのです。
フェレットの場合副腎が腫瘍化してしまうパターンが非常に多く、ホルモンのバランスが崩れて、
- 左右対称の脱毛
- かゆみ
- 乳頭や乳腺の腫大
- 外陰部の腫大
- 体型の変化
- 被毛や体臭の変化
- 排尿障害
などの症状がみられます。
治療方法は薬による内科治療と手術による外科治療があります。フェレットの場合、犬の副腎の病気とはタイプが違います。難しい話なので今回はその理由を省略しますが、そのため犬の副腎病の治療とは違う薬で治療することがあります。内科治療では酢酸リュープロレリンやメラトニンという薬がよく使われます。
【獣医師執筆】予防可能な病気はあるの?
犬ジステンパー
この病気は「犬」とついていますが、フェレットを含めた様々な動物に感染します。
症状としては
・皮膚(鼻や肉球が硬くなる・唇や顎の痒みや赤み)
・呼吸器(咳・鼻水・くしゃみ)
・中枢神経(フラフラする・目が回っている・首が硬直する)
主にこのような異常が見られます。
フェレットへの感染例は多く無いものの、フェレットに感染すると100%致死という大変怖い病気です。そのため、ワクチンでの予防しかこの病気には太刀打ちできないのです。海外にはフェレット専用のジステンパーワクチンがありますが、日本では犬用のワクチンを代用しています。
フェレットを飼い始めたら、販売ショップにワクチンの接種歴を確認し、病院の健康診断でワクチンを打てるかどうか相談しましょう。ワクチンは基本的には6~8週齢で1回目、その後は3~4週に1回、14週齢になるまで接種します。その後は1年に1回接種します。
犬糸状虫症(フィラリア)
糸状虫とは細長い寄生虫です。蚊に刺されることで寄生虫が血液に入り込みます。その寄生虫は血流に乗って大きく成長しながら心臓や肺に移動します。その結果、血管が物理的に詰まってしまう病気です。
この病気も「犬」がついていますが、猫やフェレットにも感染します。犬糸状虫はフェレットには感染しにくく、稀な疾患と言われています。しかし犬に比べてフェレットは体格が小さく血管が細いため、感染が軽度でも重症化しやすく致死率が高い病気です。
症状としては
- 呼吸器症状(咳・呼吸困難)
- 嘔吐
- 後ろ足の麻痺
- 疲れやすい
- 低体温
- 体重減少
- 腹部膨満
- 突然死
このような症状が見られます。
病気が見つかってから手術で心臓の寄生虫を取り除くことは不可能ではありません。しかしフェレットにとって途轍もない負担となります。フィラリアを駆虫する「メラルソミン」という飲み薬もあります。しかしこの薬はフェレットに強い副作用を出すことも報告されています。そのためこの病気に感染しないよう予防することが最も大切なのです。
予防には犬用に市販されているモキシデクチンやイベルメクチンという薬を1ヶ月に1回投与することで予防できます。蚊の出る時期より前に病院で相談してみましょう。
ノミ・ダニ
お迎えしたてのフェレットでは耳ダニが見つかることがよくあります。他にも犬や猫につくノミ・ダニがつくことがありますが、そんなに多くはありません。こちらも犬猫用のイベルメクチンなどの駆虫薬で治療・予防ができます。他にも動物を飼っている場合は全員一斉に治療や予防をすることが大切です。もし一斉にしないと病気のキャッチボールになってしまいます。薬以外では飼育環境を綺麗にしたり、お家でシャンプーをおこなったりするといいでしょう。
狂犬病
狂犬病は日本やオーストラリア、イギリスなど一部の島国を除いて世界中に分布しています。犬では毎年1回、狂犬病予防ワクチンを打たなければいけないと法律で決まっていますよね。狂犬病は人を含めて全ての哺乳類が感染する可能性があると言われています。フェレットもその中に含まれていて、アメリカでごくわずかですが、狂犬病にかかったフェレットが報告されています。
アメリカではフェレット用の狂犬病のワクチンが市販されていますが日本にはありません。犬用のワクチンがあるので、それを「思いがけない副作用の可能性がある」と飼い主さんが納得の上、代用する事もあります。ただ最初にお伝えしたように、日本には狂犬病自体が無いとされているので、接種をしている病院は少ないと思われます。
【番外編】インフルエンザ
人のインフルエンザはフェレットにうつることがあります。
人で流行するインフルエンザはA型とB型がありますが、フェレットではA型が問題となります。フェレットから人に、フェレットからフェレットにうつることもあります。症状は発熱やくしゃみ、食欲不振などです。人の症状と似ていますね。発熱は2~3日程度で収まり、他の症状は1~2週間で自然治癒することが多いと言われています。稀に肺炎など重篤な状態へ移行するため、楽観せずに病院へ行くことをおすすめします。病院に行くまで時間がかかりそうな場合はダックスープなどで栄養管理を行いましょう。
フェレットの臭い対策
マメに掃除をする
フェレットは元々肉食動物であるため、ウンチやオシッコの臭いが強めです。
排泄物の臭い対策としてはケージやトイレ、ハンモックなどはなるべくまめに掃除をすることがあげられます。ケージやトイレ、おもちゃなど水洗いできるものは丸ごと水洗いしましょう。時間が無い時は水拭きするだけでも効果があります。また忘れがちですが、ハンモックの洗濯も忘れないようにしてください。
シャンプーをする
フェレットは独特のにおいがありますが、その原因は皮膚から分泌されている皮脂です。
体臭対策としてはシャンプーをすることがあげられますが、シャンプーをしすぎると皮膚が乾燥してしまいます。乾燥は皮脂の分泌を促して余計に臭いが強くなってしまうため、シャンプーは月に1~2回程度にしておきましょう。
みなさん、毎年インフルエンザのワクチンは打っていますか?
犬や猫を飼育している方は毎年ワクチンやノミダニのお薬を使って病気を予防していますよね。フェレットでも同じ様に予防できる病気があるので、ぜひご一読ください。